トーセンジョーダンの勝因、ブエナビスタの敗因 ~天皇賞(秋)

今年の天皇賞(秋)は、トーセンジョーダンがなんと芝2000mの日本レコードとなる1.56.1という驚異的なタイムで優勝しました。従来のレコード(2001年ツジノワンダー)を0.3秒更新したことになります。

このレコードタイムは、逃げたシルポートの1000m56.5秒という超ハイペースによって生まれたものですが、これをトーセンジョーダンはいつもよりやや後ろの10番手ぐらいで追走し、直線は外に出して猛然と追い込みます。
馬場のよいところを通って、ゴール前はダークシャドウとの追い比べとなり、最後はぐいっと伸びて1/2馬身差で栄冠をつかみました。上がりは34.2とペルーサの33.9に次ぐメンバー2番目のタイム。レコードでこの上がりですから、文句なく堂々の戴冠です。

トーセンジョーダンは2歳時に葉牡丹賞、ホープフルSと中山の2000m戦を連勝し、明けて3歳初戦の共同通信杯で2着とクラシック候補に名を連ねたものの、裂蹄でそこから休養に。昨秋にアルゼンチン共和国杯で初重賞制覇し、今年もG2を2勝しているものの、G1ではやや地味な存在であることは否めませんでした。
脚質も一定せず、昨年の有馬記念は逃げて5着、今年の宝塚記念は追い込んで9着。基本的にはAJCCや札幌記念を勝った先行が合うのかなというイメージでした。
それが今回、すばらしい末脚を披露して、後方から差しきったのですから、ペースと馬の脚質を見極めたピンナ騎手の好判断が大きな勝因と言えるのかもしれません。通ったコースも不利を受けず、しかもよく伸びるところでした。
もちろん、先週オルフェーヴルで3冠を制した池江厩舎の仕上げもよかったのでしょう。最終追い切りは4,5頭で合わせて、内から力強く抜け出してきたのが、印象に残っています。
今回のレコードの反動が若干心配ではありますが、ぜひ古馬戦線を引っ張っていく存在になって欲しいものです。

それに対して、1番人気のブエナビスタは、国内では初めて馬券圏内からはずれる4着に終わりました。宝塚記念の最後の伸びの鈍さから、ある程度予想されたこととはいえ、ショッキングではあります。
追いきりの動きもあまりよくなく、馬体重はなんとか絞ったものの、やはり気持ちが入りきっていなかったのでしょうか。レース後の松田博師のコメントもそんな感じでした。
また今回は岩田騎手が4コーナーから思い切って内を突きましたが、若干前がふさがるような場面もありました。馬を縫うように上がってきたものの、メンバー上がり3位タイの34.7では、差しきるのは無理でした。結果論ですが、うまく外に出していれば、3着はあったかもしれません。

次走はJCになると思いますが、一度使ったことであの末脚ははたして復活するのでしょうか。
思えば昨年のJCで2着に降着になってから、すっかり勝利の女神に見放されたしまったようですが、こうなるとなかなか勝てないのは、今までの競馬でもいろいろ見てきました。
ただオグリキャップのように劇的に復活した例もありますので、ぜひまたあの強いブエナビスタを見せて欲しいと思います。

トーセンジョーダン
【トーセンジョーダン】パドックでは気合い乗りのよさが目立ちました
トーセンジョーダン
トーセンジョーダンとピンナ騎手。ヘルメットを客席に投げ込んでいました
カテゴリー ,

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です